建造物彩色

 >>復原
  -大徳寺 唐門
  -知恩院 経蔵
  -清水寺
  -御香宮
  -富貴寺

 >>杉戸
 >>復原彩色原図

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 仏教寺院建築と共に、朝鮮半島―中国大陸より我国にもたらされた彩色は、外部を朱や白、緑や黄土で塗装。また内部は、飛鳥―奈良時代においては天井回りに限られ極彩色(繧繝(うんげん)彩色)で荘厳(しょうごん)されていましたが、時代を経ると共にその範囲は変化し、平安時代には床板を除く全面に装飾文様や絵画が描かれ、鎌倉時代以後は外部の装飾彫刻類の発展と共に彩色も外部へと広がります。桃山時代には内部では障壁画が発達し、外部では巨大な丸彫り彫刻の出現により建造物彩色の黄金期を迎えました。

※繧繝彩色(同系色の顔料で淡色から濃色までを段階的に塗り重ねたもの)

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大徳寺 唐門 (国宝) 京都市
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 天正時代に豊臣秀吉により創建された、聚楽第(じゅらくだい)の遺構と伝えられています。
 彫刻入り隅に僅かに残された顔料片を調査、分析し、桃山時代を代表する力強い彫刻群を天然貴石(岩絵具)を用い、絢爛たるたたずまいの中にも落ち着きのある彩色を復原しました。
平成十五年完成

大徳寺 唐門(南東面彩色部分)
唐門南東面彩色部分
 
大徳寺 唐門(南面)
唐門南面
大徳寺 唐門(北面彩色部分 恵比寿)
北面彩色部分 恵比寿
大徳寺 唐門(北面)
唐門北面
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知恩院 経蔵 (重要文化財)京都市
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知恩院 経蔵 東壁面 普賢菩薩図
彩色復原 東壁面 普賢菩薩図
 創建は元和七年。当初の内部彩色及び板絵を現状(文政の描き直し)の下から確認調査し、古色により復原しました。柱巻下げ及び組物は古色による補彩を施しています。
平成十二年完成。
知恩院 経蔵外観
経蔵外観

●鳳凰図(天井)
経蔵の天井には、9枚の板絵が描かれています。雲、鳳凰、笙や琵琶を持つ飛天をモチーフに浄土の虚空を表しています。

●普賢菩薩図
経蔵内部には、床面を除く全面に装飾文様や絵画が描かれ、画題は折枝花鳥図、雲中麒麟図、普賢・文殊菩薩図、蓮池図等。普賢菩薩図は文殊菩薩図と対の形で東面左側に位置しています。

知恩院 経蔵 天井画 鳳凰図
彩色復原天井画 鳳凰図
清水寺 西門 彩色部分
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西門 彩色部分
清水寺 (重要文化財) 京都市
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 780年京都東山に創建後、焼亡と再建を重ね、現在の堂塔の多くは慶長―寛永期に復興のもの。三重塔、西門、阿弥陀堂、鐘楼の順に彩色復原を進め、子安の塔の彩色調査(平成十三年)でも成果を上げています。

清水寺 三重塔(重要文化財) ●三重塔(重要文化財)寛永九年建立
長押、台輪、丸桁の各層に残る風食痕と顔料分析により彩色復原。
総丹塗りと各重横木の極彩色文様が印象的であり、重層塔の外部の極彩色としては古例とされています。昭和六十一年彩色復原
清水寺 西門(重要文化財)●西門(重要文化財)寛永八年建立
繊細な柱巻下文様や熨斗文様が特徴的な建造物。各天井の宝相華文様も華やかです。正面に向拝、木階に高欄が設けられ、一見すると拝殿風ながら、背面には軒唐破風が架かっている珍しい形式です。平成五年彩色復原
清水寺 鐘楼(重要文化財)●鐘楼(重要文化財)慶長十二年建立
重い鐘楼を吊る為、六本柱、四方転びの技法が用いられています。
蟇股の菊や懸魚の牡丹の彫刻が見事。これらは大らかな桃山様式で表わされています。平成十一年彩色復原
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御香宮 京都市
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●本殿(重要文化財)
創建は慶長十年。現在の本殿は、徳川家康により再建されました。板絵、杉戸絵、構造材彩色、彫刻彩色等を、痕跡及び顔料の調査により全面彩色復元。平成五年完成
本殿に安置されている狛犬の修復も行いました。
平成十四年完成

●拝殿(京都市指定文化財)
伏見城車寄せを移築したものとの伝承があり、桃山時代の装飾美を今に伝えています。正面破風装飾を代表とする各面の頭貫より上部の虹梁、組物、蟇股等を彩色復元しました。
平成九年完成

拝殿御香宮 拝殿(京都市指定文化財)
御香宮 本殿(重要文化財)
本殿
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富貴寺 大分県宇佐市
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●大堂(国宝)
 国東半島に残る阿弥陀堂建築、国宝富貴大堂の浄土教美術の極楽世界を、大分県立歴史博物館内に実物大で再現。痕跡調査及び類例研究により創建当初(十二世紀)の姿を蘇らせました。
平成十年完成。

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富貴寺 大堂内部 現状
大堂内部 現状
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復原レプリカ
復原レプリカ
富貴寺大堂 長押(現状:復原)
長押
左:現状 右:復原
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富貴寺大堂 仏後壁 阿弥陀浄土変相図
仏後壁 阿弥陀浄土変相図

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杉戸
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 杉戸は障壁画と共に建造物内の廊下周りを飾る重要な建具ですが、外向きににある為に劣化が激しく、絵画の損傷も甚だしいのが現状です。当所では綿密な痕跡調査を元に、当時の姿を蘇らせています。復原の形態には、新しい杉板に復原しオリジナルを収蔵する場合と、指定物件以外は現状の杉戸に保存処理および補彩をする場合の二通りがあります。

西本願寺 飛雲閣 三十六歌仙 現状
西本願寺 飛雲閣 三十六歌仙 現状
三十六歌仙 復原
三十六歌仙 復原
名古屋城 杉戸
名古屋城 杉戸
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復原彩色原図
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 現状模写や現状見取図作制をした後。痕跡調査や顔料の分析を行い、その結果を元にして彩色の復原原図を作りあげていきます。

清水寺 西門 蟇股
清水寺 西門  蟇股

大徳寺唐門 西立面図
大徳寺唐門 西立面図

清水寺 三重塔
清水寺 三重塔